- 2024.11.28
歯茎下がりと進行した歯周病を改善!歯周組織再生療法で健康を取り戻す
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Before
治療前
治療前 CT
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After
治療後
治療後 CT
| 患者 | 40代女性 |
|---|---|
| 主訴・ニーズ | 歯周病の治療を受けたい |
| 診断名・症状 | 下顎左側第1および第2大臼歯根分岐部病変 歯肉退縮 |
| 治療内容・治療費(自費診療) | 歯周組織再生療法 |
| 治療費総額 | 165,000円(税込) |
| 治療期間 | 半年 |
| 来院頻度 | 手術後1ヶ月間は週1〜2回 それ以降は月1回程度 |
| リスク・副作用 | 歯周組織再生療法を受ける際のリスク及び副作用 歯周組織再生療法は、歯周病によって損なわれた歯周組織(骨、歯肉、歯根膜など)を再生させることを目的とした治療法です。しかし、他の外科的治療と同様に、いくつかのリスクや副作用が伴う場合があります。以下に詳しく説明します。 1. 感染リスク 原因: 手術後の切開部が感染する可能性があります。手術後の傷口が細菌にさらされることで炎症や膿が発生する場合があります。 予防法: 適切な術後ケアと抗生物質の使用が推奨されます。 2. 組織の拒絶反応 原因: 再生療法で使用される材料(人工骨やメンブレンなど)が体に適合しない場合、拒絶反応が起こることがあります。 症状: 炎症、腫れ、材料の吸収不良。 対応: 材料を取り除き、再度治療を行う場合があります。 3. 治療効果が限定的 原因: 患者の全身状態や歯周病の進行度、喫煙習慣などの影響で、再生が不完全になる場合があります。 対策: 治療前に十分な説明を受け、必要に応じて生活習慣の改善を行う。 4. 歯肉退縮 原因: 手術による歯肉の切開や治癒過程で、歯肉が後退する場合があります。 影響: 歯が長く見えるようになり、審美的な問題が発生することがあります。 5. 知覚過敏 原因: 再生療法後に歯肉や骨が薄くなった場合、歯根が露出して知覚過敏が生じることがあります。 症状: 冷たいものや熱いものに敏感になる。 対応: 知覚過敏用の歯磨き粉やフッ素塗布が推奨されます。 6. 術後の痛みや腫れ 原因: 外科手術後に生じる正常な炎症反応。 症状: 数日間の痛み、腫れ、出血。 対応: 痛み止めや冷却による緩和が一般的です。 7. 骨再生の不成功 原因: 再生療法で使用した材料が定着せず、骨の再生が期待通りに進まない場合があります。 対策: 再治療や補強の検討が必要になることがあります。 8. 歯の動揺(動きやすさ) 原因: 手術中に歯周組織が一時的に弱くなること。 影響: 一時的な歯の動揺が見られるが、治癒により改善する場合があります。 9. 全身的な影響 原因: 手術や薬剤(抗生物質・鎮痛薬)の影響で、稀に全身症状(発熱、アレルギー反応など)が現れることがあります。 対策: アレルギーの有無を事前に確認し、異常があれば早めに医師に相談する。 |
皆様こんにちは。福岡市東区香椎駅前にあるまこと歯科・矯正歯科の院長をしております木村誠です。
今回ご紹介するのは、奥歯に発生した根分岐部病変(歯周病の一種)およびそれに伴う歯茎の後退を、歯周組織再生療法による外科的治療で改善した症例です。
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根分岐部病変とは?
根分岐部病変は、奥歯(大臼歯)に多い歯周病の一種で、歯の根っこが分かれている部分(根分岐部)に炎症や骨の損失が生じる状態を指します。奥歯は1本の歯に複数の根があるため、それらが分岐している部分が特に汚れや細菌がたまりやすく、歯周病の影響を受けやすいのです。
わかりやすく言うと
- 歯の根っこが複数に分かれる部分は、磨き残しやすく、歯垢(プラーク)や歯石が溜まりやすい「隠れた汚れの溜まり場」のような場所です。
- 歯周病が進行すると、この分岐部分の歯ぐきや骨が侵され、歯がぐらついたり、痛みが出たりすることがあります。
どんな症状が出るか?
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- 歯ぐきが下がって歯が長く見える。
- 歯を噛むと痛みを感じることがある。
- 歯と歯ぐきの間(歯周ポケット)が深くなる。
- 歯がぐらつき始める。
なぜ治療が必要なの?

根分岐部病変は、放置すると奥歯を失う原因になります。また、治療せずに悪化すると、他の健康な歯にも影響が及ぶ可能性があります。早期発見と適切な治療が重要です。
上記の論文から根分岐部病変が進行すればするほど抜歯になる可能性が高くなっていくことが示唆されています。
治療法

軽度の場合は、歯のクリーニングや薬で改善を図りますが、進行している場合には「歯周組織再生療法」などの外科的治療を行うことがあります。この治療により、失われた骨や歯ぐきを再生させることを目指します。
根分岐部病変は適切なケアと治療で改善できる病気です。「歯がしみる」「ぐらつく」などの違和感を感じたら、早めに歯科医院を受診することをお勧めします。
それでは本題に戻ります。
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※下顎左側臼歯部の術前
女性の患者様で、メインテナンスで来院された際、左下の大臼歯部に深い歯周ポケット(歯周病の進行を調べる検査)が見つかりました。更に歯茎が下がっていることも上記の写真からわかります。
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※CTのボリュームレンダリング像
CT検査の結果、歯の根元が分かれている部分(根分岐部)に骨が一部失われている状態(骨欠損)が確認されました。幸いにも、この部分の状態は初期から中等度の進行でとどまっており、また患者様の口腔内は非常に清潔に保たれていました。そのため、骨や歯ぐきを再生させる「歯周組織再生療法」が適応できると判断いたしました。
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※切開線の様子
今回の症例では、検査の結果、歯の分かれ目の部分(根分岐部)の病変が、頬側(外側)のみに限られている状態であることが確認されました。
そのため、広い範囲を大きく切開する方法ではなく、必要な部分のみにアプローチする「シングルフラップアプローチ」という方法を選択しました。
この方法は、病変がある側のみ歯ぐきを開き、歯と歯の間の歯ぐき(歯間乳頭)にはできるだけ処置を加えないことが特徴です。
その結果、症例によっては、術後の痛みや腫れを抑えられる可能性がある方法とされています。
また、歯間部の歯ぐきを温存することで、血流を保ちやすく、歯ぐきや骨の回復にとって有利に働くと考えられています。
一方で、処置する範囲が限られるため、見える範囲や操作できるスペースが狭くなることがあり、症例に応じて慎重な判断と手技が求められます。
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※歯石を除去しているところ
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※術中の左下臼歯部
CT像と同じように歯根の分岐部に骨吸収を認めました。
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※FGF-2(リグロス)の塗布および骨補填剤(バイオス)の充填
歯の根のまわりには、「リグロス」という歯周組織の再生を促すお薬を塗布し、失われた骨の部分(骨欠損部)には、骨の再生を助けるための材料(骨補填剤)を詰めて治療を行います。
組織の再生には、再生をするまでスペースを確保する必要があるため当院では、骨補填剤を併用することが多いです。
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※口蓋から採取した結合組織
歯ぐきの厚みが薄いと、将来的に歯ぐきが下がりやすくなると言われています。今回は、歯ぐきの後退(歯ぐき下がり)に対する治療も兼ねていたため、患者様ご自身の結合組織を上あごの内側(口蓋部分)から採取し、必要な部位に移植する処置を行いました。
また結合組織を移植することにより歯肉の厚みの増加は、骨様組織の再生にも有効であると言われております。
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※縫合し、ワイヤーにて固定した状態
歯周組織再生療法は、術後に歯が揺れると血餅が安定しないために再生量が減ると言われているため、特に術前に動揺している歯は固定が必須となります。
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※術前のCT像
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※術後1年後のCT像
こちらは、手術から1年が経過した時点で撮影したCT画像です。歯の根が分かれている部分(根分岐部)が、骨に似た新しい組織でしっかりと満たされていることが確認できました。これは、再生治療が順調に進んでいる良い結果といえます。
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※術前の口腔内写真
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※術後の口腔内写真
歯茎下がりの改善も行うことができました。
術後2年程度経過しておりますが、安定した状態が続いております。
まとめ
歯周病は、症状が乏しい病気です。自覚症状が現れる時には、すでに十度の状態であることがほとんどです。
しかし、歯科医院で定期的に診察を受け、適切な歯周病治療とメインテナンスを継続することで、ほとんどの歯周病はコントロールできる病気です。
もし重度に歯周病が進行していると診断されてお困りの方や、歯周組織再生療法を受けたい方は、当院までお気軽にご相談頂けますと幸いです。
まこと歯科・矯正歯科
福岡市東区香椎駅前2-12-54-201
電話番号092-692-2963
