インプラント・入れ歯

  • 2025.11.20

上の奥歯の部分の骨が少ない方へのインプラント治療

  • Before

    上の奥歯の部分の骨が少ない方へのインプラント治療

    治療前 右上第1大臼歯 頬側面

    上の奥歯の部分の骨が少ない方へのインプラント治療

    治療前 右上第1大臼歯 咬合面

    上の奥歯の部分の骨が少ない方へのインプラント治療

    治療前 CT

  • After

    上の奥歯の部分の骨が少ない方へのインプラント治療

    治療後 右上第1大臼歯 頬側面

    上の奥歯の部分の骨が少ない方へのインプラント治療

    治療後 右上第1大臼歯 咬合面

    上の奥歯の部分の骨が少ない方へのインプラント治療

    治療後 CT

患者 30代女性
主訴・ニーズ 右上の奥歯にインプラント治療をしてほしい
診断名・症状 上顎右側第1大臼歯欠損
治療内容・治療費(自費診療) サイナスリフト(上顎洞底挙上術) インプラント治療
治療費総額 インプラント精密検査33,000円 インプラント基本治療費440,000円 サイナスリフト165,000円 総額638,000円
治療期間 約1年
来院頻度 月1〜2回
リスク・副作用 1. サイナスリフトとは? 上の奥歯の部分は、歯を失うと**骨がやせやすく、すぐ上に上顎洞(じょうがくどう:空洞のような副鼻腔)**があります。 骨の厚みが足りないと、そのままではインプラントが支えられません。 そこで行うのが**サイナスリフト(上顎洞底挙上術)**です。 上顎洞の底(床)を少し持ち上げてスペースを作る そのスペースに骨や骨補填材を入れて、インプラントを支えられる厚みを確保する手術 場合によってはサイナスリフトと同時にインプラント埋入を行うこともあります しっかり噛めるようにするための、骨の土台づくりの手術と考えてください。 2. サイナスリフト+インプラント治療全体に共通する一般的なリスク 2-1. 腫れ・痛み・内出血 内容 手術後数日〜1週間ほど、頬や歯ぐきが腫れたり、痛んだりすることがあります 目の下や頬に**青あざ(内出血)**が出ることもあります なぜ起こる? 骨や粘膜を触る外科手術のため、どうしても炎症反応が出ます 対応 処方する痛み止めでコントロールできることがほとんどです 通常、数日〜1週間ほどで落ち着きます 2-2. 感染(ばい菌が入る) 内容 手術部位に細菌が入り、**感染(膿がたまるなど)**を起こすことがあります 起こるとどうなる? 強い痛み・腫れ・熱感 膿が出る、傷口の治りが悪い 状況によっては、入れた骨やインプラントを一部・全部取り除く必要が出ることもあります 予防・対応 清潔な術野での手術、抗生物質の服用 術後のうがい・歯みがき指導を守っていただくことが大切です 2-3. 出血 内容 手術中・手術直後の出血 稀に、後からじわじわ出血が続く場合があります 起こるとどうなる? 口の中に血がたまる、唾液に血が混ざる 非常にまれですが、大量出血のリスクもゼロではありません 対応 手術中に十分な止血を行います 手術後に血が止まりにくい場合は、ガーゼを噛んで圧迫していただきます 抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を内科で服用されている方は、事前に内科と連携して調整が必要です 2-4. 麻酔に伴うリスク 内容 局所麻酔でのアレルギー反応・気分不良 静脈内鎮静・全身管理を併用する場合は、血圧変動・呼吸抑制など全身的リスク 対応 詳細な問診・既往歴の確認 術中の血圧・脈拍などモニタリング 必要に応じて医科との連携 3. サイナスリフト特有のリスク サイナスリフトには、上顎洞(副鼻腔)に近い部分を扱うことによる特有のリスクがあります。 3-1. 上顎洞粘膜(シュナイダー膜)の穿孔(やぶれ) 内容 上顎洞を覆っている薄い膜(シュナイダー膜)に穴があく・裂けることがあります 起こるとどうなる? 入れた骨補填材が上顎洞内に入り込む 上顎洞炎(副鼻腔炎)のリスクが高まる 状況によっては、 その場で膜を補修して手術継続 いったん手術を中止し、後日やり直す などの判断が必要になります 頻度 文献的にも、サイナスリフトの合併症の中では比較的よく見られるものと報告されています 3-2. 上顎洞炎(副鼻腔炎)の発症・増悪 内容 手術をきっかけに**上顎洞炎(副鼻腔炎:いわゆる蓄膿症)**を起こすことがあります もともと副鼻腔炎がある方では、その症状が悪化する可能性があります 症状 頬の奥の痛み・重い感じ 鼻づまり・鼻水、悪臭のある鼻水 頭痛、微熱 対応 鼻や耳の症状が強い場合は、耳鼻科との連携が必須となります 場合によっては、入れた骨やインプラントを除去する必要が出ることもあります 予防 事前にCT撮影を行い、上顎洞の状態(粘膜の肥厚、嚢胞、既存の副鼻腔炎の有無など)を確認 鼻炎・副鼻腔炎が強い場合は、先に耳鼻科で治療をしてから歯科手術を検討します 3-3. 鼻への交通(口腔と上顎洞がつながる)・骨補填材の迷入 内容 サイナスリフト部位と上顎洞内が予想以上に大きく交通し、 口から飲んだ水や空気が鼻に抜ける感覚 鼻をかんだときに、骨補填材が鼻腔側に押し出される といったことが起こる場合があります 対応 穴の大きさや場所によっては、追加の手術による閉鎖が必要なことがあります 鼻を強くかまない/ストローで強く吸わないなどの術後指示が重要です 3-4. インプラント体の上顎洞内への迷入 内容 インプラントが骨に十分に固定されず、上顎洞の中に入り込んでしまうことがあります 起こるとどうなる? 上顎洞炎の原因になる 取り出すための追加手術(口腔内または耳鼻科的アプローチ)が必要になることがあります 予防 CTによる精密な計画 適切な長さ・太さのインプラント選択 初期固定を得られない場合には無理に同時埋入を行わないなど、慎重な判断が必要 3-5. 鼻出血・頬部の違和感・しびれ感 内容 手術後しばらく、鼻出血や頬の奥の重い感じが続くことがあります 手術操作によって、周囲の神経が刺激されてしびれや違和感が一時的に出ることもあります 多くは 時間経過とともに軽快しますが、まれに長く残る場合もあります 4. 骨やインプラントが予定通りつかない可能性 4-1. 骨が思ったように増えない/吸収してしまう 内容 入れた骨補填材が予定どおり自分の骨に置き換わらない 時間の経過とともに、一部が吸収してしまう 起こるとどうなる? インプラントを支える骨が足りず、 再度の骨造成手術 インプラントのやり直し 治療方針の変更(ブリッジや義歯など) が必要になる場合があります 4-2. インプラントと骨が結合しない(オッセオインテグレーション不全) 内容 サイナスリフト部位に埋入したインプラントが、骨と十分に結合しないことがあります リスクを高める要因 喫煙 糖尿病などの全身疾患 強い力が早期にかかってしまう咬合状態 感染や副鼻腔炎 起こるとどうなる? インプラントがぐらつく、痛む 除去して再治療、もしくは他の治療方法への変更が必要になることがあります 5. 全身状態に関連するリスク 5-1. 既往歴や服薬との関係 内容 糖尿病、骨粗鬆症、心疾患、脳血管疾患など 抗凝固薬、ステロイド、骨吸収抑制薬(ビスホスホネート系など)を服用されている場合 起こる可能性のあること 傷の治りが悪い 感染が重症化しやすい 出血が止まりにくい まれに顎骨壊死などの重篤な合併症のリスク 対応 事前にかかりつけ医へ照会し、必要に応じて薬の調整や全身管理を行います 場合によっては、サイナスリフトやインプラント治療を見合わせる判断をすることもあります 6. 日常生活への一時的な制限・不便 内容 術後しばらくは以下のような制限が必要です 具体例 鼻を強くかまない・くしゃみをこらえない(口をあけてゆっくり行う) ストローで強く吸わない 強いスポーツや長時間の入浴・サウナを控える 喫煙を控える(できれば禁煙) 理由 上顎洞内の圧が急に変化すると、膜の穿孔や出血・腫れ・上顎洞炎のリスクが高まるため 7. サイナスリフトを行う前に必ずお伝えしたいこと 100%安全な手術は存在しない サイナスリフトは世界中で行われている確立した方法ですが、それでも前述のような合併症・失敗の可能性はゼロではありません。 CT検査と綿密な診査が不可欠 骨の量や上顎洞の状態(粘膜の厚み、嚢胞、副鼻腔炎など)を3次元的に確認したうえで、 サイナスリフトが適切か どの方法・タイミングで行うか を判断します。 耳鼻科との連携が重要な場合がある もともと副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が強い方は、耳鼻科の治療を優先していただくことがあります。 術後のセルフケア・通院が成功の鍵 決められたお薬の内服 うがい・歯みがきの方法 通院間隔の遵守 などを守っていただくことで、合併症のリスクを大きく減らせます。 8. 患者様向けまとめ文章(そのまま掲載用) 「サイナスリフトを併用したインプラント治療の副作用・リスクについて」 サイナスリフトは、上あごの奥歯の部分で骨の厚みが足りない場合に、 上顎洞(じょうがくどう)という空洞の一部を持ち上げ、 その空いたスペースに骨や人工の骨を入れて、インプラントを支えられる土台を作る手術です。 この治療によって、今までインプラントが難しかった方でも、 自分の歯に近い感覚でしっかり噛める可能性が広がりますが、 下記のような副作用・リスクがあることをご理解ください。 手術後の腫れ・痛み・青あざ(通常は数日〜1週間ほどで軽快) 手術部位の感染(痛みや腫れが強くなり、場合によっては入れた骨やインプラントを取り除く必要が出ることがあります) 出血や血が止まりにくくなる可能性 上顎洞を覆う薄い膜が破れること(状況により、その場で補修・手術の中止・後日の再手術などが必要となります) 上顎洞炎(副鼻腔炎:いわゆる蓄膿症)の発症・悪化 口と上顎洞が交通することによる、鼻への空気や液体の漏れ インプラントや骨補填材が上顎洞内に入り込むこと 入れた骨が思ったように増えない・吸収してしまうこと インプラントが骨と十分に結合せず、ぐらつきや痛みが出て再治療が必要になること 全身のご病気(糖尿病、心疾患、骨粗鬆症など)や内服薬(血液をサラサラにする薬、骨粗鬆症の薬など)によって、 傷の治りが悪くなったり、まれに重い合併症が起こる可能性 また、手術後しばらくは、鼻を強くかまない・ストローで強く吸わない・激しい運動を控えるなど、 生活上の制限が必要になります。 当院では、事前にCTで骨や上顎洞の状態を詳しく確認し、 必要に応じて耳鼻科の先生とも連携しながら、安全に配慮して治療を行っています。 サイナスリフトやインプラント治療には、上記のようなリスクが伴いますが、 十分な診査・診断を行い、患者様とよく相談したうえで、 それでも「しっかり噛めるお口」を目指す価値があると判断した場合にのみ、治療をご提案しています。

皆様こんにちは。福岡市東区香椎駅前のまこと歯科・矯正歯科の院長を務めております木村誠です。

今回は、上あごの奥歯の部分に対して、サイナスリフトという骨を増やす方法を併用したインプラント治療を行った症例をご紹介いたします。

上あごの奥歯付近には、「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞状の副鼻腔があり、歯を失った部分の骨が薄くなってしまっている方が多く見られます。骨の厚み(垂直的な骨量)が十分でない場合、通常の方法ではインプラントをしっかり支えることができません

そのため、骨の高さが足りないと「インプラント治療は難しい」と診断されたり、他院で治療を断られるケースもあります。

それを解決する方法が 「サイナスリフト(上顎洞底挙上術)」という骨造成(こつぞうせい)治療です。
これは、上顎洞の底部分を少し持ち上げ、そのスペースに人工骨やご自身の骨を加えて骨量を確保する方法です。将来インプラントをしっかり支えられる「土台」をつくる治療と言えます。

今回の症例では、このサイナスリフトを併用することで、骨が薄くインプラントが難しいとされていた部分でも、しっかり噛める歯を再建できる可能性が広がります。

症例概要

患者様は30代の女性で、これまで義歯(入れ歯)を使用されていましたが、**「よりしっかり噛めるようにしたい」「食事や会話をもっと快適に楽しみたい」**といったご希望から、インプラント治療を選択され、当院へご相談に来られました。

入れ歯は取り外しができるという利点がある一方で、

  • 噛む力が弱く感じる

  • 食事の制限がある

  • 会話中の動きが気になる
    などの不便さを感じる方が少なくありません。

患者様もそのような日常生活でのご不安やご不自由を感じられており、**「自然な噛み心地で、自分の歯のように使える治療法を希望したい」**との思いから、インプラント治療をご検討されました。

まずCTで詳細な診査を行った結果、骨量などの条件を確認し、安全性を十分に考慮したうえで治療計画を立案。より快適な生活を実現するための第一歩として、インプラント治療を開始いたしました。

※初診時の口腔内写真

掲載している写真の左下、黄色の点線で囲まれた部分に歯が欠損していることが確認できます。
患者様は過去に矯正治療を受けられており、歯並び(歯列)は非常に整っていました。
また、日頃からお口のケアをしっかりされており、口腔衛生状態もとても良好でした。

欠損部位の歯は、もともと神経がない歯(根管治療済みの歯)で、その後むし歯が進行し、保存が難しくなったため抜歯となりました。
抜歯後は一時的に義歯(入れ歯)を使用されていましたが、装着時の違和感や噛みにくさなど、不自由さを感じておられました。

このようなケースは、骨や歯並び、口腔内の衛生状態などの条件が良好であることから、インプラント治療の最適な適応と言えます。

※初診時パノラマX線写真(X線写真は左右が反転して映ります。向かって左側が、実際の患者様の右側になります)

上記のパノラマX線写真を確認したところ、右上の奥歯(第1大臼歯)の歯が失われている部分では、歯を支える骨の高さが十分ではない可能性が疑われました。

特に、上顎洞(じょうがくどう)までの距離が短く、垂直方向の骨の量が少ない状態が見られます。

※治療前 右上第1大臼歯欠損部のCT画像(緑の点線:歯槽骨の頂点、黄色の点線:上顎洞の底部)

上顎の奥歯(臼歯部)にインプラント治療を行う場合、歯を支える骨の高さが十分にあるかどうかを確認するためにCT撮影を行います。

画像で黒く写っている部分は、副鼻腔(ふくびくう)の一つである「上顎洞(じょうがくどう)」です。
この空間の直下に骨が存在しますが、CT画像からも、骨の高さ(垂直的な骨量)が不足していることが確認されます。

※インプラントと上顎洞の位置関係

本症例のように、上顎洞までの骨の高さ(垂直的な骨量)が十分でない場合に、骨造成を行わずそのままインプラントを埋入すると、インプラントの先端が上顎洞内に突出してしまう可能性があります。

その結果、上顎洞に細菌が侵入し、炎症や感染(副鼻腔炎など)を引き起こすリスクがあります。

感染を防ぐための治療

このようなリスクを避け、安全にインプラントを埋入するために、上顎洞内に骨を作る「骨造成(サイナスリフト)」という処置を行います。

朝日レントゲン社NEOPREMIUM2より引用

  • サイナスリフトとは
     上顎洞の底部を持ち上げ、その下に人工骨などを入れて骨を増やす治療法です。
  • 主な方法には以下の2種類があります

    方法 特徴
    ラテラルアプローチ(側方開窓法) 骨の側面からアプローチする方法。視野が広く、骨量が少ない場合に適応されやすい
    クレスタルアプローチ(歯槽頂アプローチ) 骨の上側(歯肉側)から行う方法。低侵襲だが、骨量がある程度必要

本症例での対応

本症例では、既存の骨量が十分ではなかったため、確実性と安全性を優先し、やや侵襲が大きい「ラテラルウインドウテクニック(ラテラルアプローチ)」によるサイナスリフトを選択しました。

治療方法は患者様ごとに異なりますが、今回の選択は長期的に安定しやすく、安全にインプラントを行うために適した方法です。しっかりと配慮しながら処置を行います。

※初診時デンタルレントゲン写真(14枚)

小さな範囲ごとのレントゲン写真を14枚撮影し、虫歯や歯周病の有無を詳しく確認しました。
インプラント治療を行う際には、インプラントを埋入する部位だけでなく、その周囲の歯の状態を事前にしっかり調べておくことがとても重要です。

診査結果

  • すべての歯に神経が残っており、虫歯は認められませんでした。

  • 歯周病の兆候もなく、骨や歯肉の健康状態は良好でした。

  • 欠損している部分(今回インプラント予定部)以外の歯は、非常に安定した状態であることが確認できました。

診断

上顎右側第1大臼歯欠損

治療計画

垂直的な骨の高さ(上顎洞までの距離)が不足しているため、インプラント治療にはサイナスリフト(骨造成術)を併用する必要があります。

ただし、現在約4mm程度の骨が残っていることが確認できたため、骨を増やす処置(サイナスリフト)と同時にインプラントを埋入する方法を採用することとしました。

この方法により、治療回数を減らし、治療期間を短縮できるメリットがあります。
もちろん、安全性を最優先しながら慎重に治療を進めます。。

治療経過

※手術前の右上第1大臼歯部(欠損部)の口腔内写真

術前に撮影したCT画像の分析により、水平的な骨の幅(骨量)は十分に確保されていることが確認できました。
また、欠損部の周囲には、インプラント治療に適した量の角化粘膜(丈夫で安定した歯ぐき)も十分に存在していることが分かります。

これらの条件は、インプラント治療後の清掃性や長期的な安定性にとって非常に良好な要素です。

※切開・剥離時の様子

サイナスリフト(骨造成)を行うため、まず歯ぐきに切開を加えて粘膜を丁寧に剥離しました。

京セラメディカル株式会社のホームページ資料から引用

株式会社フォレストワン社のホームページより引用

※当院での安全な処置への取り組み

当院では、上記のピエゾサージェリー(超音波切削器具)などの専用機器を使用し、上顎洞の粘膜をできる限り傷つけないように慎重に開窓します。
これにより、処置中のリスクを最小限に抑え、安全かつ精密な治療が可能です。

※シュナイダー膜を挙上した状態

上顎洞の内側は、「シュナイダー膜」と呼ばれる薄い膜で覆われています。
サイナスリフトでは、この膜を丁寧に剥離して持ち上げ、その下に骨を作るためのスペース(空間)を確保します。

その後、骨を再生させるための材料(骨補填剤)をその空間に填入していきます。

使用する骨補填材について

当院では、以下のような日本口腔インプラント学会が認めている信頼性の高い骨補填材を使用しています:

  • Bio-Oss(バイオス)

  • Cytrans Granule(サイトランスグラニュール) など

これらの材料は、生体親和性が高く、骨の再生を促す効果が科学的に証明されているものです。

今後、徐々に患者様ご自身の骨と置換されながら安定していきますので、長期的にも安全性と predictability(予知性)の高い治療です。

※骨補填剤填入

※骨補填剤を上顎洞に填入した状態

骨補填剤は、上顎洞内に確保したスペースに填入されます。
この材料は 骨再生の「足場」となる役割 を果たし、新しい骨が形成されるためのスペース(空間)を確保する目的で使用します。

時間の経過とともに、患者様ご自身の骨が徐々に新たに作られ、補填剤と置き換わっていく仕組みです。

※インプラント埋入(黄色の矢印部)

本症例では、CT画像などの診査により、上顎洞までに約4mmの骨が確認できたため、サイナスリフト(骨造成)と同時にインプラント埋入を行いました。

同時埋入を採用した理由とメリット

サイナスリフトは、骨造成を行うためにやや侵襲の大きい処置となりますが、
インプラントの埋入を同時に行うことで、以下のような利点があります:

  • 手術回数を減らすことができる

  • 治療期間を短縮できる

  • 2次的な追加手術の負担を軽減できる

  • 患者様のお身体への負担をできる限り少なくすることが可能

当院では、安全性を最優先しつつ、患者様の体への負担を少しでも軽減できるよう、治療方法を慎重に選択し工夫しております。
今後も治癒経過を確認しながら、最適なタイミングで上部構造(被せ物)の治療へ進めてまいります。

※吸収性膜の設置

開窓した部分(ウインドウ部)は、骨補填剤が外に漏れ出ないように、吸収性の膜でしっかりと覆います。

この膜は、治癒の過程で体内に自然に吸収されるため、取り除く必要はありません。
また、骨再生が安定して進むよう保護する役割も兼ねています。

※手術直後

処置後は、創部を丁寧に縫合し、手術を無事に終了しました。
止血も確認し、インプラントおよび骨造成部は安定した状態で終了しております。

※術前・術後のCT画像①(左:術前/右:術直後)

手術は予定通り完了し、創部を丁寧に縫合して終了しました。

サイナスリフト(骨造成)を併用したことで、インプラント体を十分な骨の中に安定して埋入することができました。
術前と比べて、インプラント周囲に骨が確保されていることがCT画像から確認できます。


今後は、インプラントと骨がしっかりと結合する治癒期間(約数ヶ月)を経て、上部構造(被せ物)の治療へ進んでいきます。
引き続き、安全性を確保しながら経過を注意深く確認してまいります。

※術前・術後のCT画像②(左:術前/右:術直後)

別の角度からCT画像を確認しても、インプラント周囲に十分な骨量が確保されていることが確認できました。

サイナスリフト(骨造成)を行った場合、新たに骨が安定して形成されるまで時間が必要です。
そのため、通常はおよそ6ヶ月以上の治癒期間を設けた後、インプラントの頭出し(2次手術)を行うようにしております。

※2次手術時

1次手術でサイナスリフトと同時にインプラントを埋入できたため、
2次手術(インプラントの頭出し)の際は「パンチアウト」という最小限の粘膜切除のみで対応することができました。
その結果、術後の痛みや腫れも非常に少なく、患者様への負担を軽減できました。

その後の治癒経過も良好であったため、最終的な被せ物(上部構造)の製作・装着へ進みました。

※最終上部構造(ジルコニアセラミック)装着時

黄色の点線で囲った部分が、今回インプラント治療を行った部位です。
今回装着した上部構造(被せ物)は、ジルコニアセラミック製で、専門技工士によって精密に作製されているため、天然歯と見分けがつかないほど自然で美しい仕上がりとなっています。

スクリューリテイン方式について

今回は、スクリューで固定するタイプ(スクリューリテイン方式)の上部構造を使用しています。

  • 咬合面にアクセスホール(黄色の矢印)が開きますが、最終的にはレジンで封鎖します(水色の矢印)ので見た目や機能に問題はありません。

  • この方式の大きな利点は、万が一トラブルが生じた際にも、上部構造を容易に取り外せるため、再治療やメンテナンスがしやすい点です。

※口腔内写真(黄色の点線部分がインプラント治療部位)

インプラントの上部構造(被せ物)を装着したことにより、従来の義歯使用時と比べて噛みやすさや話しやすさが改善し、日常生活の質(QOL:Quality of Life)が向上しました。
患者様からも「とても快適になった」「自然に噛めるようになった」など、満足のお声をいただいております。

インプラント治療は、見た目だけでなく機能面(咬合力・安定性)においても優れているため、食事や会話などの日常動作がよりスムーズになります。

今後も、インプラントを長期的に維持するために、定期的なメンテナンスとご自宅での適切なケアを継続していただくことが大切です。

※上顎洞のCT画像❶(左:術前/中央:サイナスリフト時/右:上部構造装着時)

黄色の点線で囲んだ部分が**上顎洞の底部(洞底)**です。
サイナスリフト(骨造成)後には、水色の点線で示される位置まで骨様組織が形成され、骨の量が増加していることが確認できます。

術前と比較すると、インプラント周囲に十分な骨が確保されており、安全かつ安定した位置へのインプラント埋入が可能となったことがCT画像から明確に示されています。

※上顎洞のCT画像❷(左:術前/中央:サイナスリフト時/右:上部構造装着時)

別の角度から確認しても、サイナスリフト(骨造成)によって上顎洞の部位に骨様組織がしっかりと形成され、十分な骨量が確保されていることが分かります。

まとめ

当院では、上顎洞付近の骨量が不足しており、そのままではインプラント治療が難しいと判断されるケースに対しても、今回ご紹介したサイナスリフト(骨造成術)を併用することで、インプラント治療が可能になる場合があります。

他院で
「骨が足りないためインプラントはできない」
と言われてお悩みの方、あるいは治療を諦めてしまっている方も、状態によっては治療の選択肢がある可能性があります。

まずは一度、お気軽に当院へご相談ください。CT検査などの精密診断に基づき、お一人おひとりに適した治療方法をご提案いたします。

 

医院情報

福岡県福岡市東区香椎駅前2-12-54-201

まこと歯科・矯正歯科

電話番号092-692-2963