- 2025.10.19
笑った時の歯ぐきと変色歯が気になる方へ|審美回復の症例紹介
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Before
治療前 口腔内写真 正面
治療前 口元
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After
治療後3年 口腔内写真 正面
治療後 口元
| 患者 | 30代男性 |
|---|---|
| 主訴・ニーズ | 右上の歯が痛い 全ての歯をセラミックにして綺麗にしたい |
| 診断名・症状 | 上顎右側第1大臼歯歯髄炎 テトラサイクリンによる変色歯 |
| 抜歯部位 | 上下左右第3大臼歯 |
| 治療内容・治療費(自費診療) | 抜髄(上顎右側第1大臼歯、上顎右側中切歯) 歯冠長延長術(上顎前歯部) 部分矯正治療(下顎前歯部) セラミック修復 ガムピーリング |
| 治療費総額 | 4,341,000円(税込) |
| 治療期間 | 約2年 |
| 来院頻度 | 月1〜2回程度 |
| リスク・副作用 | 各治療のリスク・副作用について 当院では安全で確実な治療を心がけておりますが、すべての歯科治療には一定のリスクや副作用の可能性がございます。下記に代表的な治療についてご説明いたします。 ■ 抜髄(神経の治療) 治療内容:虫歯などにより感染した歯の神経を取り除く治療です。 主なリスク・副作用: 治療後に一時的な痛みや違和感が出ることがあります。 歯がもろくなり割れやすくなるため、被せ物などで補強が必要になる場合があります。 根の治療がうまくいかなかった場合、再治療や抜歯が必要になる可能性があります。 ■ 歯冠長延長術(クラウンレングスニング) 治療内容:被せ物を装着するために歯ぐきや骨の位置を調整し、歯の露出部分を増やす外科処置です。 主なリスク・副作用: 一時的な出血・腫れ・痛みを伴うことがあります。 歯が長く見えるようになるため、見た目の変化が気になる場合があります。 稀に知覚過敏が出ることがあります。 ■ 部分矯正治療(MTM) 治療内容:数本の歯に限定して位置を整える矯正治療です。 主なリスク・副作用: 矯正中は歯や歯肉に圧力がかかり、痛みや違和感を感じることがあります。 歯の動きによって歯根吸収や歯肉退縮が起こる可能性があります。 治療後の後戻りを防ぐため、保定装置の装着が必要です。 ■ セラミック修復(クラウン・インレーなど) 治療内容:虫歯や破折した歯を、審美性・耐久性に優れたセラミックで補綴する治療です。 主なリスク・副作用: 一時的な知覚過敏が出ることがあります。 強い力がかかると、セラミックが欠けたり割れたりすることがあります。 土台の歯にトラブルが生じた場合、再治療が必要になることがあります。 ■ ガムピーリング(歯ぐきの色素除去) 治療内容:メラニン色素などによる歯ぐきの黒ずみを除去し、自然なピンク色に回復させる治療です。 主なリスク・副作用: 治療後、ヒリヒリ感や軽い腫れ、赤みが出ることがあります(通常は数日以内に回復)。 ごく稀に色素が再発することがあります。 喫煙や体質によって効果が薄れることがあります。 最後に 治療に関しては、事前に十分な説明とカウンセリングを行ってから進めてまいります。 ご不安な点がございましたら、お気軽にスタッフまでお尋ねください。 |
皆様こんにちは。福岡市東区香椎駅前でまこと歯科・矯正歯科を開業しております木村誠です。
はじめに
今回は、幼少期にテトラサイクリン系の抗生物質を服用したことによって起こった歯の変色に対し、セラミックによる審美的な治療を行った症例をご紹介します。
患者様は30代の男性で、右上の奥歯(第一大臼歯)に強い痛みがあるとのことでご来院されました。診察の結果、その歯は**歯の神経(歯髄)が炎症を起こしている状態(歯髄炎)**と診断され、**根管治療(歯の神経を取り除く治療)**を行い、痛みの改善を図りました。
根管治療を行った歯は、治療後に被せ物などの補綴治療が必要になることが多く、今回のケースでもその必要があるとご説明いたしました。
すると患者様から、治療した歯だけでなく、すべての歯をセラミックで白く美しくしたいというご希望をいただきました。
診査

※初診時の口腔内写真(5枚法)
上の前歯には、**メタルボンド冠(内側が金属で外側に白いセラミックを焼きつけた被せ物)**が装着されていることが確認できました。

※初診時口腔内写真正面
赤い矢印の部分に注目すると、歯の変色や表面の着色が確認できます。また、その歯だけでなく、被せ物が入っていない他の歯も同様に変色していました。
これらの症状から、**永久歯が作られる時期(幼少期)にテトラサイクリン系の抗生物質を服用したことで起こる「変色歯」**であると診断しました。
次に、**黄色の丸で示した部分(上の左側の犬歯)**を見ると、セラミックの被せ物(冠)が装着されており、その周囲の歯ぐきが赤く腫れているのがわかります。
この原因としては、以下のことが考えられます:
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歯みがき不足(プラークコントロール不良)
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適合の悪い被せ物(不良補綴物)
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歯ぐきの健康を保つための必要なスペース(生物学的幅径)を侵害している補綴物
また、水色の丸の部分に注目すると、歯ぐきが黒ずんでいる変色が見られます。これは、メラニン色素の沈着によるもので、皮膚と同じように歯ぐきにもメラニンが含まれており、喫煙や物理的な刺激などでメラノサイト(色素細胞)が活性化され、黒くなることがあります。
特に、喫煙されている方はリスクが高いと言われています。

※初診時半開口状態
**黄色の丸の部分に注目すると、下の前歯に歯並びの乱れ(叢生/そうせい)が見られます。**歯が重なって生えているため、歯みがきがしにくく、汚れがたまりやすい状態です。
また、お口全体を見てみると、歯が欠けていたり、溶けていたりしており、歯の上の部分(歯冠部)が一部失われている状態が確認されました。
このような状態は、次のような原因が考えられます:
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歯ぎしりや食いしばりなどによる「咬耗(こうもう)」
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酸の強い飲食物や甘いものを頻繁に摂取することで起こる「酸蝕症(さんしょくしょう)」
これらの要因により、歯の表面が削れたり溶けたりしてダメージが蓄積されていると考えられます。


※初診時下顎咬合面
黄色の丸で囲った下の前歯(下顎前歯部)には、歯並びの乱れ(叢生/そうせい)が見られます。
また、矢印で示した歯については、歯の表面を覆っているエナメル質がほとんど確認できず、内側の象牙質(ぞうげしつ)がむき出しになっている状態です。
これは、**歯ぎしりや食いしばりによる「咬耗(こうもう)」、および酸性の飲食物や甘いものの摂取による「酸蝕症(さんしょくしょう)」**の影響で、エナメル質が削れたり溶けたりしてしまったためと考えられます。
象牙質が露出すると、歯がしみやすくなったり、むし歯のリスクが高くなるため、早期の対応が重要です。

※初診時側方運動時
患者様に横方向(側方)にあごを動かしていただいたところ、奥歯(大臼歯)同士が干渉している様子が確認されました。
通常、歯は**上下の力(垂直的な力)**には強い構造をしていますが、**横から加わる力(側方力)**にはあまり強くありません。
そのため、このような側方の力が繰り返し加わることで、歯にさまざまなトラブル(欠け・すり減り・揺れなど)を引き起こす原因となることがあります。
特に、歯ぎしりや食いしばりのある方では、こうした力の影響が大きくなるため、かみ合わせのバランス調整やマウスピースの使用などが必要になる場合があります。

※初診時パノラマX線写真及びデンタルレントゲン14枚法
主訴である右上の奥歯(上顎右側第一大臼歯)には、重度のむし歯(う蝕)が確認されました。
また、右上の前歯(上顎右側中切歯)には、歯の根の内側から溶けていく「歯根の内部吸収」が見られました。
さらに、上下左右に計4本の親知らずが確認され、特に右下の奥歯(下顎右側第二大臼歯)では、親知らずと接している部分にむし歯ができていました。
歯周病の状態については、お口全体にわたり「水平性の骨欠損(歯を支える骨が全体的に平らに減っている状態)」が認められました。
特に、歯の根の長さのうち、約3分の1に相当する部分の骨が吸収されている(骨が溶けている)状態で、歯周病が中〜進行期にあると判断されます。
問題点と解決策
問題点①:適合の悪い被せ物(不良補綴物)
▶ 解決策:
歯ぐきに炎症(歯肉炎・歯周炎)があるため、まずは歯周治療をしっかりと行い、炎症をコントロールします。
その後、**精密な型取り(印象)や噛み合わせの記録(咬合採得)**を行い、適合の良いセラミックによる被せ物を装着します。
問題点②:テトラサイクリン系抗生物質による歯の変色
▶ 解決策:
このタイプの変色は、通常のホワイトニングでは改善が難しいため、セラミックによる審美的な修復を行い、自然で美しい歯の色を取り戻します。
問題点③:喫煙による歯ぐきの黒ずみ(メラニン色素沈着)
▶ 解決策:
まずは禁煙をおすすめします。
その後、歯ぐきの黒ずみを除去するために**ガムピーリング(歯ぐきの表面をきれいにする処置)**を行います。
問題点④:歯ぎしりや酸による歯のすり減り(咬耗症・酸蝕症)
▶ 解決策:
すり減ってしまった歯の形を、セラミック修復により回復させ、見た目と機能を改善します。
問題点⑤:笑った時に歯ぐきが多く見える(ガミースマイル)
▶ 解決策:
歯の生え方に問題がある「受動的萌出不全」と診断されたため、**歯冠長延長術(ししゅうちょうえんちょうじゅつ)**という処置を行い、歯の見える長さを整え、自然なスマイルラインを作ります。
診断
#1上顎右側第1大臼歯急性歯髄炎(治療法:根管治療)
#2受動萌出不全によるガミースマイル(治療法:歯冠長延長術)
#3広範型慢性歯周炎ステージ3グレードB(治療法:歯周基本治療、禁煙指導、歯周外科)
#4喫煙による歯肉の変色(治療法:禁煙指導、ガムピーリング)
治療経過

※上顎前歯部の補綴物を除去した状態
患者様よりお口全体をセラミックで美しく整えたいとのご希望がありましたので、まずは上の前歯に入っていた被せ物(補綴物)を取り外しました。
その結果、歯そのものの色が強く変色していることが確認でき、これは幼少期に服用されたテトラサイクリン系抗生物質による変色歯であると判断しました。
また、**歯ぐきには炎症があり、腫れや赤み(腫脹・発赤)が認められました。**これは、プラークの蓄積や被せ物の適合不良が原因と考えられ、歯周治療による炎症の改善が必要となります。

※上顎前歯の拡大
取り外した被せ物を確認したところ、歯ぐきのライン(歯肉縁)より深い位置まで歯が削られており、歯ぐきの健康に必要なスペース(生物学的幅径)を侵害している状態でした。
このような状態では、どれだけ丁寧に歯みがきをしても、歯ぐきの炎症(腫れや出血)がなかなか治まりません。
歯ぐきに常に刺激が加わるため、慢性的な炎症が続くリスクが高くなります。
このため、今後の治療では歯ぐきと歯の境界を正しく整え、歯ぐきに優しい形で補綴物を設計・装着していくことが大切になります。

※下顎前歯部拡大
下の前歯の歯ぐきにも腫れ(炎症)が見られました。
これは、歯並びの重なりやセルフケアの難しさが影響している可能性があります。
また、矢印で示した歯については、歯の表面(歯冠部)の一部でエナメル質が欠けている状態でした。
エナメル質が失われると、中の象牙質が露出し、しみる・むし歯になりやすい・見た目が悪くなるなどの問題が生じます。
このようなケースでは、むし歯や咬耗、酸蝕などのリスク評価を行い、必要に応じて補修やセラミック修復を検討していきます。

※仮歯装着
上の前歯の被せ物を除去した後、仮歯(テンポラリークラウン)を装着しました。
仮歯を装着することには、いくつかの重要な目的があります:
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歯石除去などの歯周治療を行いやすくし、より確実に歯ぐきの健康を整えることができる点
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見た目(審美性)を最低限保ち、日常生活での違和感を軽減する点
この仮歯の段階で、歯ぐきの状態を安定させ、最終的な被せ物(セラミック)の準備を整えていくことがとても重要です。

※診断用ワックスアップ
お口全体に治療が必要な患者様に対しては、「診断用ワックスアップ」という模型を使って、事前に治療後のイメージや問題点を確認する診査を行います。
このワックスアップは、治療計画を立てる上でとても重要なステップであり、見た目やかみ合わせを事前にシミュレーションできるメリットがあります。
特に、下の前歯には歯並びの乱れ(叢生)が見られるため、部分的な矯正治療を行い、整った歯並びを目指します。
また、黄色の丸で囲んだ部分に注目すると、ワックスが盛られている箇所があります。これは、歯の形が欠けていたり、摩耗していたりして、修復が必要な場所を示しています。
このように診断用ワックスアップを通じて確認すると、ほとんどの歯が色だけでなく形にも問題を抱えていることが明確になり、治療の方向性がより具体的になります。

※下顎前歯部分矯正治療
下の前歯の歯並びの乱れ(叢生)を整えるために、部分的な矯正治療を開始しました。
この矯正治療によって、見た目の改善はもちろん、歯みがきのしやすさが向上し、むし歯や歯周病の予防にもつながります。
また、正しい位置に歯を整えることで、その後のセラミック治療やかみ合わせのバランスもより良い状態に仕上げることができます。

※矯正治療終了時
矯正治療を行ったことで、下の前歯の歯並びが整い、見た目も大きく改善されました。

※術前(上記左)と初期治療後(上記右)の下顎咬合面
矯正治療を行なったことで、下顎前歯は綺麗に歯が並びました。また親知らずがなくなっていることがわかります。

※上顎前歯の審美性の評価
上の前歯の歯ぐきのライン(歯肉ライン)に注目すると、左右でバランスが取れておらず、整っていない状態であることがわかりました。
理想的な歯ぐきのラインは、以下のようになっています:
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中切歯(中央の前歯)と犬歯(糸切り歯)の歯ぐきの高さが同じくらい
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側切歯(中央と犬歯の間の歯)は、それよりもやや下(歯ぐきが少し高い位置)にあると、見た目が美しく調和の取れた印象になります
このラインが崩れていると、笑った時の印象や前歯のバランスが不自然に見えることがあります。
そのため、必要に応じて歯ぐきの形を整える処置(歯肉整形や歯冠長延長術)を行うことも検討されます。

※治療ゴールの設定
患者様の笑顔をより自然で美しく見せるために、最適な歯の形や大きさをシミュレーションしていきます。
特に今回は、以下の2点を重点的に考慮しています:
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歯ぐきのライン(歯肉線)のバランスの乱れ
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歯の見えている長さが短いことによるガミースマイル(歯ぐきが目立つ笑顔)の原因
これらを踏まえて、歯の形・大きさ・位置関係を模型上で確認(ワックスアップ)しながら、最終的なセラミックのデザインを計画していきます。
患者様一人ひとりに合わせた審美的なゴールを目指し、自然で調和の取れたスマイルラインを実現することが目的です。

※診断用モックアップ
歯の大きさを整えて、見た目のバランスを良くするためには、「歯冠長延長術(しかんちょうえんちょうじゅつ)」という歯ぐきの位置を整える外科的な処置が必要になる場合があります。
この処置を行うことで、歯が短く見える原因の一つであるガミースマイルの改善にもつながります。
ただし、手術を行う前に、**患者様のご希望やご不安をしっかりとお伺いしながら、最終的なセラミックの形や歯の長さをお口の中でシミュレーション(仮合わせ)**いたします。
これにより、治療後の仕上がりをイメージしやすくなり、安心して治療に臨んでいただけます。

※修正したモックアップ
シミュレーションの結果、少し歯が長く見える印象がありましたので、見た目のバランスを考慮して、わずかに調整を行いました。
また、患者様のご希望やご意見も丁寧にお伺いしながら、最終的な形を一緒に検討し、自然で調和の取れた歯の長さに修正しました。
こうした細やかな調整により、よりご満足いただける審美的な仕上がりを目指しています。

※外科処置前の状態
初診時には喫煙されていた患者様ですが、歯周基本治療を進める中で禁煙に成功されました。
この禁煙は、歯ぐきの健康や歯周治療の予後にとって非常に大きな意義があり、患者様の努力と意識の高さが感じられました。
また、歯石除去やブラッシング指導などの歯周基本治療をしっかりと行ったことで、歯ぐきの腫れや出血といった炎症症状も大きく改善されました。
なお、歯周外科治療を行う前には、こうした歯周基本治療をきちんと完了させておくことが、治療の成功と歯ぐきの安定にとって最も重要なステップとなります。

※歯冠長延長術後
診断用のモックアップ(仮の歯の模型)を参考にしながら、最終的な仕上がりをイメージした上で、歯ぐきの形を整えるための
歯肉切除(しにくせつじょ)と骨切除(こつせつじょ)を行いました。
この処置により、歯の見え方やスマイルラインのバランスを整え、より自然で美しい見た目に仕上げる準備が整います。
なお、今回は**神経が生きている歯(生活歯)**も含まれていたため、術後に一時的に歯がしみるような症状(知覚過敏)が出る可能性があります。
その場合は、経過を見ながら必要に応じて対処を行っていきますので、ご安心ください。

※歯冠長延長術後の咬合面
上の前歯の部分(上顎前歯部)では、歯周ポケットが5ミリ以上と深くなっていたため、
歯の長さを整える「歯冠長延長術」と同時に、歯ぐきの中に入り込んだ歯石の除去などの処置を丁寧に行いました。
このように、見た目の改善だけでなく、歯周病の進行を防ぐための治療も同時に行うことで、健康的で美しい歯ぐきを取り戻すことができます。

※モックアップでの確認
今回の歯肉切除は、治療前に作成したモックアップ(仮の歯の模型)をもとに計画した通り、
ほぼ想定した仕上がりのラインまで整えることができました。
このように、事前のシミュレーションに基づいて処置を行うことで、見た目やバランスの精度が高くなり、患者様にも安心していただける治療結果につながります。

※仮歯を戻した状態
矢印で示している部分は「歯の根(歯根)」になります。
今回の治療では、**歯ぐきとその下の骨を適切に切除することで、歯の見えている部分を長くする処置(歯冠長延長術)**を行いました。
また、手術後には歯ぐきがわずかに元の位置に戻ろうとする「クリーピング」という自然な変化が起こることを見越して、
その分を考慮しながら切除の量を慎重に調整しました。
これにより、最終的にバランスの取れた自然な歯ぐきのラインが得られるよう計画的に処置を進めています。

※歯冠長延長術後咬合面
処置後は、傷口が開かないように緊密に縫合(糸でしっかりと縫い合わせる処置)を行いました。
これにより、出血や感染のリスクを抑え、歯ぐきが安定して治るための環境を整えています。
また、縫合がしっかりしていることで、治癒もスムーズに進みやすくなります。
経過を観察しながら、必要に応じて抜糸や清掃を行っていきます。

※プロビジョナルレストレーション
十分な治癒期間を確保したのちに、「プロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)」を装着します。
このプロビジョナルレストレーションは、通常の仮歯よりも精度が高く、専門の歯科技工士がオーダーメイドで作製します。
今回のようにお口全体にわたる治療が必要な症例では、この精密な仮歯を使って、審美性(見た目)や機能性(かみ合わせ・発音・清掃性など)を実際にお口の中で確認していきます。
この期間を通して、最終的なセラミック治療に向けて微調整を行い、より高い満足度につながる仕上がりを目指します

※上顎のプロビジョナルレストレーション
上あごの歯はすべて、クラウンタイプ(全体を覆うタイプ)のプロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)を装着しました。
このクラウンタイプの仮歯は、見た目だけでなく、かみ合わせや発音、歯ぐきとの調和などをしっかり確認できるため、最終的なセラミッククラウンの設計に向けた大切なステップになります。
仮歯の状態でしばらく経過を観察し、審美性・機能性ともに問題がないことを確認した上で、最終補綴(セラミック)へと移行していきます。

※下顎プロビジョナルレストレーション
下あごの歯には、「クラウンタイプ」と「貼り付けタイプ」の2種類のプロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)を使用しました。
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クラウンタイプは、歯全体を覆う仮歯で、強度や形の調整がしやすく、かみ合わせの確認にも適しています。
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**貼り付けタイプ(ベニアタイプ)**は、歯の表面に貼るような形で装着し、歯をあまり削らずに審美的な改善ができるのが特徴です。
このように、歯の状態や治療目的に応じて、仮歯の種類を使い分けることで、より自然で機能的な最終補綴(セラミック)に向けた準備を進めていきます。

※プロビジョナルレストレーションを装着
作製したプロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)を、実際にお口の中に装着し、審美性(見た目)と機能性(かみ合わせや発音、清掃のしやすさなど)を確認しました。
この仮歯の段階で、
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笑ったときの見た目
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噛んだときの安定感
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日常生活での使いやすさ
などを細かくチェックし、必要に応じて調整を加えることで、最終的なセラミック治療に向けて、より完成度の高い仕上がりを目指します。

※プロビジョナルレストレーションを装着した状態の口元
プロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)を装着した状態で、口元のバランスや歯の長さ、見た目の印象などを細かく確認しました。
この仮歯は、通常レジン(樹脂)素材で作製されるため、時間の経過とともに着色や多少の色調変化が見られることがあります。
しかし、最終的にはセラミック補綴物に置き換えることで、色味や質感などはしっかりと修正・調整されますのでご安心ください。
仮歯を装着した状態で約3ヶ月間、審美性・機能性・清掃性などを丁寧に観察し、特に大きな問題も生じなかったため、いよいよ最終補綴物(セラミッククラウン)の製作に移行しました。

※最終補綴物装着時口腔内
今回の治療では、
歯冠長延長術・部分矯正治療・全顎的なセラミック修復・ガムピーリングといった複数の処置を組み合わせて行いました。
その結果、
**見た目の美しさ(審美性)だけでなく、噛む・話すといった日常機能(機能性)、歯の構造的な安定性、歯ぐきとの調和(生物学的バランス)**のいずれにおいても、非常に良好な状態に仕上がりました。
このように、包括的な治療を通じて、長期的に安定した口腔内環境を整えることができました。

※最終修復後3年
今回の治療では、部位ごとの機能と審美性に応じて、適切なセラミック材料を選択しました。
具体的には、
**噛む力が特に強くかかる奥歯(大臼歯部)には、高い強度を持つ「ジルコニアセラミック」**を使用し、
**下あごの前歯など比較的強度を必要としない部位には、審美性に優れた「二酸化ケイ素リチウム(E-max)」**を使用しました。
これらのセラミック材料は、物理的・化学的に非常に安定しており、変色しにくく、適合性にも優れているのが特徴です。
実際に、治療後3年が経過した現在も、非常に美しく良好な状態が保たれています。
このように、患者様の状態に合わせた素材選びと設計により、長期的に満足いただける審美・機能の回復が可能になります。

※最終補綴物装着後3年
治療後の経過観察においても、機能面で大きな問題は特に見られず、かみ合わせや発音なども安定した状態が継続しています。
咀嚼(そしゃく)機能や口腔内の清掃性も良好で、患者様ご自身によるセルフケアのしやすさも維持されており、日常生活に支障なく快適にお過ごしいただけている状態です。

※術後3年正面
ガムピーリング(歯ぐきの黒ずみ除去)を行ったことで、歯ぐきの色調も明るくなり、非常に美しく健康的な状態に改善されました。
さらに、患者様は歯周基本治療中に禁煙にも成功されており、これによりメラニン色素の再沈着(再発)のリスクも大きく低下しています。
このように、審美面・健康面の両方で長期的に安定した状態が維持できる環境が整ってきています。

※術前(上記左)と術後(上記右)の口腔内写真正面観
精密に適合した補綴物(被せ物)を装着することで、歯ぐきへの余計な刺激がなくなり、歯肉の炎症も大きく改善されていることが確認できました。
補綴物の適合性が高いことは、審美性だけでなく、歯周組織の健康を維持する上でも非常に重要な要素です。
今回の症例では、補綴治療と歯周治療の両面からアプローチを行うことで、見た目と健康の両立が実現できたといえます。

※術後パノラマX線写真とデンタルレントゲン14枚法
レントゲンを撮影し、適合の良い精密な補綴物を装着できていることを確認します。

※術後の口元

※術前(上記左) 術後(上記右)
セラミック治療に加えて、歯冠長延長術などの歯周外科処置を組み合わせることで、
ガミースマイル(歯ぐきが過度に見える状態)とテトラサイクリンによる変色歯の両方を効果的に改善することができました。
歯ぐきのラインや歯の形・色が整うことで、自然で調和の取れた口元となり、審美性・機能性ともに高い満足度が得られています。
このように、総合的な治療アプローチにより、複数の問題を同時に改善することが可能です。
まとめ
ガミースマイル(笑ったときに歯ぐきが目立つ状態)や変色歯の治療を行うことで、口元の印象は大きく改善され、より明るく清潔感のあるイメージを与えることができます。
今回のような症例では、セラミック治療や歯周外科処置を組み合わせることで、見た目の美しさとお口の健康を同時に整えることが可能です。
当院では、このようにお口全体に複数の問題を抱えている患者様への総合的な治療を得意としております。
もし、口元にコンプレックスをお持ちの方や、どこから治療を始めればよいかわからない方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
一人ひとりに合わせた最適な治療プランをご提案させていただきます。
医院情報
まこと歯科・矯正歯科
福岡県福岡市東区香椎駅前2−12−54−201
電話番号 092-692-2963



